ミスはなかったものの、獣医師が謝罪をしたことで損害賠償を請求された事例
ミスはなかったものの、獣医師が謝罪をしたことで損害賠償を請求された事例
ご相談者
院長
動物病院
スタッフ数 10名前後
ご相談内容
高齢の猫の腫瘍摘出手術を行ったが、手術後に衰弱して死亡してしまった。
手術自体にはミスはなく、当初より死亡のリスクは伝えていたが、悲しむ飼い主を見かねて、「当院の力不足で〇〇ちゃんを救えず、申し訳ありませんでした」という書面を獣医師のサインとともに書いて渡した。
すると翌月、飼い主の弁護士から100万円の損害賠償の支払いを求める内容証明郵便が届き、医療ミスを認めた証拠として獣医師の書面が添付されていた。
解決結果
弁護士から、ミスがなかったことを飼い主に説明して、3万円のお見舞金を支払うことで合意しました。
解決までの流れ
依頼を受けた弁護士が、飼い主の弁護士と交渉を行いました。
猫が死亡したのは手術前に伝えていたリスクが顕在化したものであること、書面は悲しむ飼い主を慰めたい気持ちから書いたもので、ミスがあったわけではないことを丁寧に伝えました。
カルテ等の診療記録から飼い主側も過失があることは主張できない状況であり、その結果、お見舞金の支払いをすることで合意できました。
弁護士のコメント
人医、獣医に関わらず、診療行為にミスがなくても、死亡等の結果に責任を感じて「医療人として救ってあげたかった」という思いからその場で謝罪をしてしまうケースは少なくありません。
そして、謝罪を受けた当事者は、当初はミスがあると思っていなくても、「医師が謝罪をしたのだからミスがあったはずだ」と誤解をしてしまうことで、損害賠償請求をするという流れになることがあります。
謝罪によってミスがあったと思わせてしまうという本末転倒の事態にならないように、事情説明や謝罪は慎重に行いましょう。
リスク説明をしていないことで、ネガティブな結果を受け入れることができず、ミスがあったのではないかと誤解をさせてしまうこともありますので、手術前の同意書も重要となります。
当事務所は同意書の作成も行っておりますので、お気軽にご相談ください。