過去に作成した「財産はいらない」という書面の効力を否定した事例

過去に作成した「財産はいらない」という書面の効力を否定した事例

解決結果

書面の内容を覆し、相談者が５００万円の分与を受けることで合意

事例と解決までの流れ

相談者の実家は会社を経営していました。相談者の兄が会社を継ぐ際に、「両親が亡くなっても相続を求めないように」と言われました。

相談者はそれで兄が会社を継いでくれるならと思い、両親と兄の求めに応じて、「両親が亡くなっても財産はいりません」という書面にサインをしました。

その後、両親はどちらも亡くなりましたが、サインした当時とは相談者の経済状況が変わったため、やはり遺産を相続したいというご希望で相談にいらっしゃいました。

当事務所は相談者の代理人となって兄と交渉を行い、サインした時や現在の相談者の経済状況を伝えて、５００万円を相続することになりました。

弁護士のコメント

法律上の効果は別として、親族の間で「将来の相続の際に遺産を求めない」といった約束をするケースが多く見られます。

本件の書面は法律上の効果はないものでしたが、親の会社を継いだ兄の苦労も考え、法律上の権利を主張するだけでなく、兄への配慮を示した上で交渉を行いました。その結果、お互いの事情を理解し合うことができて、調停外で合意が成立しました。